労作時息切れと肺の過膨張と特徴とする疾患概念は、1685年にWillisにより初めて記載された[6]。イタリアの解剖学者ジョバンニ・モルガーニ (en:Giovanni_Battista_Morgagni) は、この疾患患者の肺は剖検時に開胸してもしぼまないことを1761年の著書『 De Sedibus et Causis Morborum per Anatomen 』に記載し、1819年フランスの内科医レンネック (en:René_Laennec) は、「肺の過膨張状態で肺組織の萎縮を伴う疾患」として「肺気腫 emphysema 」という用語を導入した[6][7]。しかし当時、肺気腫は解剖病理学的疾患としての意味合いが強く、臨床症状としての過膨張や気流制限を客観的にとらえられるようになるには、1949年ティフェノーが開発した呼吸機能検査まで待たねばならなかった。
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1950年代、人口増加と高年齢化、大気汚染や喫煙の増加等により、労作時息切れや喀痰の増加を特徴とする疾患患者が増加していた。これをイギリスでは「慢性気管支炎」と呼び、アメリカ合衆国では「肺気腫」と呼んだが、肺気腫・慢性気管支炎ともに気流制限を主要な特徴とするものの、両者の異同が問題となっていた。また気管支喘息の合併例や、鑑別の難しい例もみられた。そのため、慢性気管支炎、肺気腫、気管支喘息などに関する用語、定義、分類の統一を目指し、1958年イギリス学派が中心となりチバ・ゲスト・シンポジウム (Ciba Guest Symposium) が開催された。ここで慢性気管支炎は咳や痰の持続期間等の臨床症状に基づいて用いるべき用語であること、肺気腫は病理形態学的用語であることが提言された[8]。また同会でこれらの疾患概念を包括する用語として、「慢性非特異的肺疾患 chronic non-specific lung disease 」 が提案された[8]が、1965年この用語を止め、慢性気管支炎の用語を拡大して分類を行った[9]。
慢性気管支炎 (chronic bronchitis) の分類(1965年)
単純性慢性気管支炎 (simple chronic bronchitis)
痰の分泌過多を呈するもの
慢性または反復性化膿性気管支炎 (chronic or recurrent mucopurulent bronchitis)
明らかな感染によるもの
慢性閉塞性気管支炎 (chronic obstructive bronchitis)
気流制限を伴うもの(アメリカ学派のいう「肺気腫」はここに含まれるが、病理学的肺気腫がないものも含まれる)
当時、慢性気管支炎は痰の分泌過多から感染をきたし、感染により進行して気流制限を呈するようになる、という病期のプロセスが想定されていた